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GANTZ(ガンツ)
第336話 命の質と数
巨人語の翻訳

2011/03/17 2011/04/20

このページでは、『GANTZ』第336話「命の質と数」に登場した巨人語の翻訳を掲載しています。

対象 原文 備考
英訳 和訳
19P目2コマ目
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 ローマ字表記です。

 固有名詞以外にまでこのようなローマ字表記が用いられるのは初めてです。

2011/04/20 追記

 これが初めてではなく、0332話07P目3コマ目という前例の存在したことが最近判明しました。

 「SINE」「ITI」の部分から、ヘボン式ではなく日本式であることが分かります。

2011/04/10 追記

 ご参考までに、ヘボン式によると「SHINE」「ICHI」という表記になります。

2011/04/10 追記

 ローマ字表記の理由についてかなり長文となってしまったので、ご覧のように備考欄を拡張した変則的なスタイルでお送りしています。

 KURONO KEI

 BAKA AHO SINE
 ITI NI SAN
 クロノ ケイ

 バカ アホ シネ
 イチ ニ サン
 玄野 計

 馬鹿 阿呆 死ね
 一 二 三
2011/04/10 追記

【ローマ字表記の理由について】 超長いので読み飛ばす▼

 半月ほど前になりますが、拍手コメントにて「0336話でララダちゃんの悪口(?)がローマ字表記されたのは何故なんでしょう?」とのご質問を、匿名の方からお寄せいただいておりました。

 結論からお答えすると「私も分かりません」なのですが(汗)、せっかく考える機会を与えていただきましたので、ご参考のために、私なりに幾つかの仮説を立てておきたいと思います。

 ちなみに、仮説1は私が初見で抱いていた想像に、仮説2は今回のご質問から読み取れる質問者の方の基本的な解釈(表示内容に何らかの形でフラ・ララダの意思が反映しているという理解)に対応しています。

仮説1:音声認識説

 私がこのコマを見て最初に想像したのは、巨人兵スーツのセンサーが、そのロックオン対象(ここでは玄野)の周辺で起きている会話等を自動的に「音声認識」しているのではないか、ということでした。

 というのも、翻訳前の生(なま)の音声を文字に起こして表示したものだと考えれば、ローマ字表記であることの説明は最も付けやすそうでしたし(巨人兵スーツを素直に巨人文明の産物だと考えると、英語ベースの巨人語を母語とする巨人がなぜ英語の発音により近いヘボン式を採用しなかったのか、という細かい問題は残ります。 ただ、発音に関しては巨人語も英語そのものとは異なるハズであることや、そもそも英語ベースという仕組み自体が創作上の遊び心にすぎないという見方を重視するのであれば、上記の点は必ずしも問題ではないとも言えそうです。)、しかも、このコマはちょうど玄野が周囲にいる人間達から非難を受けている場面であることから、ローマ字表記された日本語が内容的に罵倒の類(1行目の「馬鹿 阿呆 死ね」)になっていることとも符合するように感じられたからです。 また、これは私だけかも知れませんが、映画『プレデター』にしばしば登場する例のカットを何となく連想してしまったことにもよります(笑)。

 もっとも、この線で考えていくと、2行目の「イチ ニ サン(一 二 三)」という表示がこのコマの会話音声を拾った内容としては余りにも脈絡がなく不自然であるため、説明として苦しい面があります。 ただ、そうかといって、仮にこの2行目を音声認識自体の結果としてではなく、それに付随する何らかの機能による「カウント表示」(たとえば、発話者の人数など)が行われているものとして解釈すると、今度はそれがローマ字表記であることの説明が付きにくくなってしまいます(音声を起こしたものでないならば、算用数字で「1 2 3」と表記されるのが自然だからです。)。 そうすると、これらローマ字表記の2行に対し、仮説1(音声認識説)のみによってスッキリとした説明を加えるのは、なかなか難しいように思われました(1行目と2行目をそれぞれ全くの「別機能による表示」として分けて捉えた上で、後述する他の仮説と組み合わせて説明する方法が一応は考えられるかも知れません。 しかし、表示の位置関係からして、1行目と2行目を完全に分けて捉えること自体、既に大きな無理がある気がしています。)

 ついでに難点をもう1つ挙げておくと、面倒を見てもらえるのが宇宙船を脱出するところまでだったとはいえ、まがりなりにも命の危険から救い出してもらった恩人(玄野)に対して、「死ね」とまでの表現を(たとえ勢い余ったにせよ)果たして用いるだろうか、という疑問もあります(ただし、この点は人によって感じ方がだいぶ異なり微妙なところかも知れませんが。)

 なお、上に示した幾つかの難点にもかかわらず、仮に「音声認識」という想像で正しかった場合、さらに解決すべき疑問として、「何故それが未翻訳のままなのか」というものがあります。 もっとも、この点については、巨人兵スーツ自体には翻訳機能が備わっていなかった、という説明や、フラ・ララダの誤操作等によって、翻訳機能が一時的に切られてしまっていた、あるいは、(少し苦しいかも知れませんが)スーツ内の表示言語に関わる基本設定が変わってしまっていた、といった説明などが可能であるように思えます。

仮説2:イタズラ入力説

 質問者の方が「ララダちゃんの悪口(?)」と書いてくださっているので、その線に乗って考えた場合の説明となります。ちなみに私自身も、仮説1とほぼ同時にこちらの可能性を考えていました。

 考えられる説明としては、玄野に命じられた運搬の仕事をひとまず終えることができ、そのおかげで少しは緊張も解けた(また、暇を持て余した)フラ・ララダが、翻訳機を介して憶えた単語を何気ないイタズラ心で入力してみた、というものです(「何気ない」というよりは、自分を散々な目に遭わせた玄野に対する「密かな鬱憤(うっぷん)晴らし」と見たほうが的確かも知れませんが、ここでは分かりやすい書き方をしておきました。)

 あえて現地の言葉で悪口を書くことにより玄野=現地生物に対する彼女なりの皮肉を込めたものだと解釈すれば、ローマ字表記であることの説明は十分付くように思われます。

 また、何気ないイタズラ書きとして見ることで、仮説1とは異なり、「イチ ニ サン(一 二 三)」といった表示の持つ内容的な不自然さは、ほとんど解消されるようにも思います。

 強いて難点を挙げるとすれば、未だ人質の状態から明確に解放されたわけではないこの状況下で、イタズラ書きをするような心理に果たしてなり得るのか、という疑問があるかも知れません。 しかし、1つの大きな仕事を終えた節目において、それまでの極度の緊張からの反動でそういった行動に及んでしまうことは、割りとあり得ることのようにも思いますし(もし彼女の中で、玄野が出した当初の要求には完全に応えられた以上、解放は目前だろうと半ば信じていたのだとすれば、なおさらあり得る気がします。)、あるいは、ひょっとすると、彼女の隠れた「豪胆な一面」をこのような形で描くことで、ある種のウケが狙われているのかも知れません(少なくとも私自身は仮説2を想像した際、「ずいぶん余裕だな」と可笑しさを覚えました。)

 なお、ついでなので「イタズラ」という線で他に想像できそうなことを1つだけ書いておきますと、突拍子も無い想像ではありますが、玄野のDNAが登録された(0334話におけるフラ・ララダのセリフ参照)データベースに巨人の誰かがイタズラしていた、という可能性も、少しだけ考えられるかも知れません(笑)。

仮説3:ツイッター説

 今や巨人にとって「全国民の敵」(0334話におけるフラ・ララダのセリフ参照)である玄野に関する情報は、軍人の間ではもちろん、一般市民の間にも広く出回っていると見るのが自然です。 そのことから、玄野の情報を共有する巨人達によるリアルタイムな「つぶやき」のようなものが表示されている、と想像したものが、この仮説3(ツイッター説)です(仮説2とも少し重なりますが、フラ・ララダ自身の「つぶやき」だとする見方もあり得るでしょう。 なお、ここで「ツイッター」と呼んでいるものは、現実のツイッターと厳密に同一仕様の媒体に限定する意図ではなく、誰もがリアルタイムにコメントを書き込め誰もがそれを見られるようなものの総称の意です。つまり例えば、『2ちゃんねる』のような掲示板の類ではないか、という予想もこの仮説3に含められています。)

 ちなみに、ツイッター(Twitter)といえば、以前から奥先生ご自身もやっておられますし、その反映なのか最近では作中にもそれと思われるものが登場しています(0337話参照)

 仮に「つぶやき」が「全国民の敵」に関してのものだとすれば、罵倒の類(「馬鹿 阿呆 死ね」)は当然に想定される内容ですから、1行目の内容に関しては十分に説明が付くといえます。 また、不特定多数人が自由に書き込めるという性質を考えれば(また、現実のツイッターの実態に照らしても)、時には書き込んだ本人(あるいは内輪の者)しか理解していないであろう全く意味不明な内容(たとえば、脈絡のない「イチ ニ サン(一 二 三)」)が混在することも、あながち不自然な現象とはいえないでしょうから、2行目の内容に関しても一応説明は付くと思われます。

 肝心のローマ字表記である理由については、仮説2と同様、「皮肉」であるという可能性のほか、仮説1で書いたように、(やはり少し苦しいかも知れませんが)フラ・ララダの誤操作によりスーツの基本言語設定が変わってしまっていた、などの説明が考えられます。

 難点としては、投稿者名や投稿日時の類が見当たらない点が一応挙げられますが、これについては、巨人世界ツイッターの仕様、あるいは、その時々における表示設定の問題だとする説明が可能であるように思えます。

仮説4:ガンツ説

 これまでに書いてきた仮説にも増して「全くの臆測」にしかならないことが分かっていても、やはりこの線にも一応は触れないわけにいかない気がしました。 恐らく、このローマ字表記の巨人語に特に注目している方の中には、私もそうであったように、一度はこれをどうにかして『GANTZ』の謎の核心に結び付けられないかと様々な想像を巡らせてみた方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。 例えば、「馬鹿 阿呆 死ね」は口の悪さでお馴染みのGANTZ語的なもの?とか、「イチ ニ サン(一 二 三)」は玄野の再生回数と関係があるのでは?などのように(笑)。

 ただ、臆測にすぎない以上、深入りするのは避け、何らかの形でガンツ(東京限定ではなく背後の存在を含めたシステム全体の意です。)が関わっているのではないか、という曖昧で無難な記述にとどめておくことにします。

仮説5:奥先生の遊び心説

 これは要するに、ストーリーの進行に関わるような深い理由は特に無い、という説です。 ここまで随分マジメに長々と書いてきてしまったわけですが、結局のところ、この奥先生の「遊び心」ということで片付けられる気がしてなりません(笑)。

 ひょっとすると、何か元ネタとなるフレーズが存在するのかも知れませんが、差し当たり私が思い付けたものとしては、世界のナベアツさんのギャグくらいでしょうか(笑)。

 なお、奥先生のツイッターにおける最近のご発言からも確認できるとおり、背景はアシスタントさんの作業であるようです。 背景中に現れる巨人語の文面決定につき、どの程度の裁量が与えられているのかまでは定かでありませんが、(奥先生による最終的なチェックには通されているにしても)元々は「アシスタントさんの」遊び心だった、という可能性も小さくはなさそうであることを、最後に一応付け加えておきます。

25P目1コマ目(見開き左頁)



 例によって和訳欄の語順は英訳欄のそれとは変えてありますので、ご注意ください。

 WARNING
 PLEASE
 DON'T PLAY
 IN THE LAKE
 注意
 池の中で
 遊ばないで
 ください